トウヤマさんのライブを初めて見たとき、
涙がつらつらと止まりませんでした。 何の押しつけもなく、何か忘れ物に気付いたような、コンコンと鍵盤は混沌とした心の声に呼び掛けてくるのです。
甘美で不可思議な音楽は、子供の目で見たおとぎ話の風景に似て子供の耳で聞いた昔話に似て1音1音脈打って、体の中は空っぽの世界になります。
トウヤマさんの正直で美しい音楽は 不安を消し去り、最大なる勇気をくれるのです。
中納良恵(EGO-WRAPPIN') |
トウヤマタケオは、クラシックのセンスをもちつつ、
音楽の現代性を貪欲に探し求める作曲家だ。 美しい音楽に秘められた英知は、ことば以上にこの世界を表現している。
それも、ユニークで有機的なスタイルで。彼の音楽は心に響く。
信じられないほど情熱的で多彩…これは天からの贈り物。
Joerg Follert (Wunder / Wechsel Garland) |
見知らぬ街(夢で一度見た?)を散策するかの様。当て所ない不安を内在する旋律と様々な楽器が奏する、耳に憶えのある音色。
焦燥と安堵の入り混じる奇妙な感覚にクラクラ。
ロックを片親に持つハイブリッド達。
ヴァン・ダイク・パークスのフォスター偏愛、 ジャズの才媛カーラ・ブレイと『反対派ロック』勢との絡み、頑に『バンド』を名乗り続けるポスト・パンク世代の作曲家マイケル・ナイマンのオーケストラ...等々。
トウヤマタケオが正調チェンバ−・ロック・マナーで吹き込んだ新作『green』には
ハイブリッドの先達同様、リセットありきのゲーム感覚で作り上げられた音楽の対極に位
置するロック的な肉体信仰が宿る。
指先が自ら律した規律を破るかの様に 鍵盤の上を飛び跳ねる瞬間、この不器用な音楽家の紡ぐ生きる歓びにもう一度クラクラ。
横山犬男(JAZZBO RECORD-MART) |
greenは僕の大好きな楽器フレンチホルンで幕を開けます。
この曲はもともと女性ヴォーカルのために数年前に作った曲でした。
今回楽団のために編曲をやり直したのですが、初めてのリハーサルでホルンの大石さんが出だしのフレーズを吹いた瞬間、ぼくはこの楽団を作って良かったなあとひとり感激しました。
このホルンのフレーズと音色はアルバム"green"全体の方向性を決定づけています。
室内楽のような音楽を作ってみたかった僕にとってホルン、クラリネット、フルートという木管楽器を中心にした編成は理想でした。
いわゆる"かっこいい"ブラスセクションではなく、"アンサンブルする"ブラスバンドを目指していたからです。
ひとりひとりのフレーズに難しいパッセージはないのにアンサンブルとして聞こえてきたときに足し算だけではない
"音楽"という果実が実っている。
おどかしや過度のテクニックを必要としない単純な音楽を、僕自身が欲していたんだと思います。ホーン低音域には甘い音色のトロンボーンが、またきわめて重要な線を紡ぐストリングスも楽団に確かな輪郭を与えてくれました。
そしてピアノ、コントラバス、パーカッションのリズム隊を組めたことは1リスナーとしての
ジャズファンである僕にとってこの上ない幸せでした。
いわばこの楽団、このアルバムは僕の夢からできあがっています。
決して流暢なだけの演奏家が集まった録音ではなく、演奏者が楽器を震わせ、アンサンブルする驚きを感じている空気のようなものをとらえたかったのです。
自分の熱い息を管に吹き込み、注意深く弦をこすり、弾き、鍵盤や
太鼓を力一杯叩く。
そうして伝わった振動が地上何メートルかの場所で混じり合う。
そんな楽団のういういしく、そしてちょっぴり青臭く(green)、空気を震わすさまを感じて
もらえたらこんなに嬉しいことはありません。
トウヤマタケオ(takeo toyama ensemble) |